
薬園町|今ここにしかない本との出会いを楽しめる、宝箱のような古本屋
古本屋は、本を売ることも買うこともできる場所です。
今の自分には必要がなくなったと思う本でも、他の誰かにとってはかけがえのない1冊になるかもしれない…。
そんな想像をすると、手渡すことも受け取ることもより嬉しく思えてきます。
また、古本は新書よりもリーズナブルに買うことができるのも大きな魅力ですよね。
本を読むことに対してハードルを感じる方も多いと思いますが、古本屋は気軽に本に触れることのできる入口の1つではないでしょうか。
今回は、本が好きな方はもちろん普段本をあまり読まないという方にもおすすめしたい古本屋さんを紹介します!
目次
きっかけは祖父の蔵書整理、ジャンルを越えてカルチャーが集まる「古本タケシマ文庫」
お店へのアクセス
お店は、浄行寺交差点の近くで国道3号線沿いにあります。バスを利用する場合は、「浄行寺」や「子飼橋」停留所から歩いてすぐの場所です。
電車であれば、熊本電鉄藤崎線の「黒髪町」駅から歩いて10分ほどです。
青い看板が目印です。
学習塾のお隣のビルの1階にあります。お店の前には駐車場もあるので、車でも訪れやすいです。
ぎゅっと詰まった本の世界へ
お店の前にはたくさんの本が並んでいます。
お店の中ではどんな本が待っているのでしょうか?
ワクワクしながら中へ。
あっちを見てもこっちを見ても本がいっぱいです!ぎゅぎゅっと詰まった情報量に圧倒されます。
本棚の間の細道を通り抜けながら、店内を見て回ります。
小説、ハウツー本、エッセイなどが置いてあるエリア。
こちらは雑誌や絵本のエリア。
表紙のほとんどを題名が占めている絵本「よしおくんがぎゅうにゅうをこぼしてしまったおはなし」。よしおくんに何があったのか…気になります!
文庫本やアートブックも豊富。古い銭湯にあるような下駄箱に文庫本がぎっちり詰まっています。
下の方にはレコードやCDなども置いてあり、思わずしゃがみ込んで物色してしまいました。
漫画もあります!
郷土に関する本も品揃え豊富です。
祖父の蔵書整理がお店の原点
お店の奥にあるレジで迎えてくださったのは、店主の菅原(すがはら)さんです。
学生時代に東京で演劇を学んでいたそうですが、その頃から古本屋さんに行くのが好きでよく巡っていた、と話してくれました。
演劇の他にも、狂言やコンテンポラリーダンスなどをやられていたというから驚きです!また映画もお好きで、熊本現代美術館の月曜ロードショーの上映作品の選者を務めているそうです。
古本屋を始めることになったのは、地元である熊本に戻ってきたあと、祖父が亡くなりその蔵書の整理をすることになった経験がきっかけだそうです。
「古本屋になって、この本を売ったらどうだろう?」と思い立ち、2016年に開店。
2016年といえば、熊本地震が起こった年です。地震の後、古本屋には買取依頼が殺到したのだそう。お家が被害に遭い、蔵書を整理する方が多かったのでしょうね。
「その際に、場数を踏むことで経験を積めたし、古本屋として鍛えられました。おかげで今も続けていられるのかもしれません。」と、当時のことを振り返る菅原さん。
地震で捨てられるかもしれなかった多くの本が菅原さんのもとにたどり着いて、次にそれを必要とする誰かの手に渡ったと思うと、不思議な巡り合わせを感じます。
カルチャーの宝箱
お店には基本、ジャンルにこだわらず何でも置くようにしたいという菅原さん。
レコードやCD、映画のパンフレットなどもあるので、本を読むことに苦手意識がある方もきっと何かしら惹かれるものがあるはず。
イベントにもよく出店されているため、商品の入れ替わりが早いことが特徴である「タケシマ文庫」さん。古本の在庫は基本的に1冊しかないので、ビビッと来るものを見つけることができたら、それこそ2度とない出会いですよね。
「よくお客さんに宝探しみたい、と言ってもらえます」と話してくれました。
お店には幅広いジャンルの本が置いてありますが、菅原さんご自身は哲学やエッセイ、社会学などの本がお好きだとのこと。「ニューエイジ」と呼ばれるジャンルもよく手に取るのだそう。
知らない誰かに手渡す、そして受け取る
古本屋さんということで、本を売るだけではなく買い取っていただくこともできます。
私もこの日、買い取ってもらいたい本を持って行きました!
この4冊で600円いただきました。ありがとうございます!
せっかくなので新しい本とも出会いたいと思い、菅原さんにおすすめを聞いてみました。

今年に入ってからなかなか良いことがなくて…。少し落ち込んでいるのですが、そんな時におすすめの本ってあったりしますか?無茶振りですみません!

なるほど…。
私の話を聞いて、すぐに本を店内に取りに行かれた菅原さん
この3冊をスッと差し出してくれました。
おお!どの本もそれぞれ違うアプローチで心に効きそうです!
両端の2冊は、菅原さんが好きな「ニューエイジ」というジャンルだと教えてくれました。
この中から、私が特にビビッと来た1冊を選ばせていただきました。
今の私に必要な本を選ぶ
ということで、今回の購入品はこちらです。
●「最後の日記」J.クリシュナムルティ 著/高橋重敏 訳 600円(税込)
●「花椿1999年3月号」資生堂企業文化部 400円(税込)
菅原さんのおすすめから選ばせていただいた「最後の日記」は、インドの神秘主義的哲学者であるクリシュナムルティが最晩年にテープレコーダーに吹き込むという形で記した本です。
自分ではなかなか選ぶことが無さそうな本との出会いは新鮮で嬉しいもの。
まだ全部は読めていないのですが、日記というか詩のようにも感じられて、意外と読みやすいです!たくさん出てくる自然描写が瑞々しくて、読むと心が静かになる気がします。
もう1冊購入したのが、資生堂のPR誌「花椿」の1999年3月号です。
表紙が私の大好きな市川実日子さんだったので、思わず手に取りました!
パリコレのレポートを中心にファッション、アート、映画、本、音楽、アニメーション作品など多方面に鋭いアンテナが張り巡らされた内容で刺激的でした。
こういった雑誌の古いバックナンバーなどは、新書のみを扱っている本屋さんではなかなか手に入らないため、古本屋さんならではの出会いです。
より多面的に、広がっていく世界
これまでは古本のみを取り扱われていたそうですが、今後は新書の取り扱いにも力を入れていく予定とのこと。
これまでよりもっと幅広いジャンルの本が置かれることで「タケシマ文庫」さんの世界が広がっていくと思うと、楽しみでしかありません!
こちらは、現在取り扱いをしている新書の中で、菅原さんのおすすめの1冊。
●「さみしがりな恋人たちの履歴と送信」笠井康平 2,750円(税込)
「1人でも多くの人に本を読んでもらいたい。そして本を通して生活をおもしろくしたい」
そんな思いで、菅原さんは今日もお店を開きます。
本以外にも、映画や演劇などのカルチャーに精通している菅原さんが集めた本たちが並ぶ店内は、ごちゃまぜの宝箱のよう。
あなたがまだ出会ったことのないような、心動かされる本にきっと出会えるはずです。
宝探しの気分で、ぜひふらっと立ち寄ってみてくださいね。
ちなみに、南千反畑町にある喫茶店「さかむら」さんにも、菅原さんの選んだ古本を置いているそうなので、行かれた際はぜひそちらもチェックしてみてください!
INFORMATION
店名:
古本タケシマ文庫
住所:
熊本県熊本市中央区薬園町1-3壺東ビル1-2号
電話番号:
096-223-5145
営業時間:
13:00~19:00
定休日:
水曜日
一人当たりの予算:
〜¥1,000
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