和水町|空白がつくるちょうどいい距離感、アートと本と文化に出会うカフェ

和水町|空白がつくるちょうどいい距離感、アートと本と文化に出会うカフェ

忙しい日が続いたり、心に余裕がなくなったりすると、アートや読書のような「余白に触れる時間」が恋しくなりますよね。

今回は、そんな時に静かに寄り添ってくれるカフェをご紹介します。
周りを気にせずに、お茶や読書を楽しみながらゆったりと自分の時間を味わえる空間です。

ほどよく満ちる自分時間を楽しむ。自然と心が和む場所「malou(マロウ)」

田んぼ道を抜けて出会う居場所

熊本県の北に位置する緑豊かな和水町。

熊本市からは車で1時間ほどの場所にあります。山道を抜けると田園地帯が広がり、遠くに連なる山々を見渡すことができます。

交差点の一角に「malou(マロウ)」さんの建物が見えてきました。


お店の前が駐車場になっていて、3〜4台ほど駐車できます。

中に入るとまず驚くのはその広さ。もともとスーパーだったそうです。



席と席との間にゆとりがあるので、他のお客さんのことを気にせずに過ごせます。

お店の奥には、広々とした舞台のような空間が。

アートの展示や音楽のライブなど、さまざまなイベントに活用されています。

壁沿いの本棚に並ぶのは、写真集や小説、エッセイ、学術書など幅広いジャンルの本たち。

お店で読むだけでなく購入することもできます。新刊が中心ですが、一部古本の品揃えも。

 

季節の味が楽しめるケーキとドリンク 

「malou」さんは、お店に入ったら先にカウンターで注文をするスタイルです。

美味しそうなアップルパイが目に飛び込んできました!

この日はイベント後でケーキの種類が1つでしたが、普段は2〜3種類ほど用意しているそうです。焼き菓子もありますのでチェックしてみてくださいね。

ドリンクメニューはこちら。


 ●アップルパイ(アイス添え) 650円(税込)


パリパリな生地とごろごろ大きなりんごの食感が楽しいです。

アイスの上に塩が少しまぶしてあり、りんごとアイスの甘さを引き立ててくれます。温かみを感じるシナモンの香りがアクセントに。

●季節果実シロップの茶割り 680円(税込)

甘さがほんのりなので、スイーツとの相性もバッチリ。

果肉やつぶつぶも入っていて、いちじくのこっくりとした味が口の中に広がります!ほのかに酸味も感じるので、後味はすっきりです。

 

土が近い生活に自分の居場所をつくる

「malouでは、接客らしい接客はあんまりしないようにしているんです。個人店でよくある常連さんがいっぱいで入りづらい、みたいな空気感は出したくなくて。もちろん話したい方とはコミュニケーションを取る、ちょうどいい距離感というか」

そう話してくれたのは、店主の水上さん。以前は東京で暮らしていましたが、コロナ禍の頃に和水町に移住しました。

「夫が熊本出身で、いつかは帰りたいと言っていて。ちょうど和水町で地域おこし協力隊の募集があったので、家族で移り住むことになりました」

——実際に移住されてみていかがですか。

「今もときどき東京に行きますが、熊本に戻ってくると『なんか帰ってきたな』って感じがあって。無意識に東京を窮屈に感じていたのかな。こっちの生活は、土が近いというか。その辺に行けば花が咲いていたり、見渡す限り山だったり。物理的に広いのが落ち着きます。」

東京で暮らしていたときは、美術館に通ったり、カフェに行ったりする時間が好きだったという水上さん。和水町に移住してから、「ここにもそういう場所をつくりたい」と思ったそう。

「そう考えていた時にこの建物に出会って。『あ、なんかいいかも』と思ったんです。夫婦で同じ意見だったので、ここを借りることにしました。」



水上さんは美大出身で東京では建築関係の仕事をしていたこともあり、お店の改装工事は業者を入れずに自分たちの手で始めたそうです。

「夫婦2人でやっているところに、ぜんぜん知らない近所のおじさんが通りかかって『何してんの?』と聞かれたので、『こうこうこうで、結構大変で…』という話をしたんです。そしたら、『じゃあ、いい大工さん紹介してあげるよ』と言って、町の大工さんや電気や排水の業者さんをバーって紹介してくれたんです。」

そんな地域の方の協力もあり、工事も無事に進み2022年に「malou」がオープンしました。お店は、水上さん夫妻の好きなものを取り入れてつくられています。

「私はもともと作ることも好きだし、見ることも好きです。夫は本が好きで。そういう要素を取り入れて、本に出会ったり、なにか美しいものに出会ったりできる場所になればいいなと思っています。」

展示は場所を貸すだけでなく、企画や準備の段階から水上さんが作家さんと一緒につくり上げていきます。

本は、水上さん夫妻が読んで「これからも大事にしていきたい」と思った本や、これから読みたい本などを中心に選書。

「読んだあとに『大丈夫』って思えるような、お守りのような本が好きです。本には何度も助けられました。やっぱり誰かが綴っている言葉やそこから見えてくる世界が単純に面白いし。大げさかもしれないけど、本って、人生変わっちゃうぐらいの存在なのかなって思います。」

心動かされた本を、次に必要とする人に手渡すための本棚。手に取った人の世界が広がるきっかけになるかもしれません。

 

日常と文化が交わる拠点

お店をスタートして、今年で3年目となる「malou」さん。現在は、ヨガやアート教室として貸し出すこともあり、毎週通ってくれる常連のお客さんも多いのだそう。

「今後は、コワーキングスペースのような作業の場所としても使ってもらえる工夫をしていきたいと考えています。フリーランスの方などに通ってもらえる場所になったらいいですね。」

広い空間の中で、それぞれが自分のペースで過ごせるのが大きな魅力。

「和水町は結構ものづくりをしている人が多くて。いつか芸術祭みたいなのができたら楽しそうだよね、と夫と話しています。」

余白からアイデアが生まれるように、新しい地域の拠点として「malou」から文化が広がっていきます。

【今後の展示予定】
「泡をすくって海を見る。」tiny作品展/会期:2025年12月4日(木)〜26日(金)
  

INFORMATION

店名:

malou(マロウ)

住所:

熊本県玉名郡和水町板楠2575−1

電話番号:

050-3479-2575

営業時間:

12:00〜17:00

定休日:

月曜・火曜・水曜(その他不定休あり)

一人当たりの予算:

¥1,000〜¥2,000

※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。

 

 

WRITTEN BY
さびねこかのこ

さびねこかのこ

山鹿市出身。今は熊本市在住。普段は、マーケティングの会社でWebライターをやっています。好きなものは、バレーボール観戦・読書・猫など。推しがたくさん居ます。食べ物は、担々麺といくらが好きです。わりと最近東京から帰ってきたUターン組なので、地元の方にも移住してきた方の気持ちにも寄り添いたい所存!よく知っている熊本と新しく出会う熊本、どちらも大切にしながら、素敵な情報をお届けできたらと思います。